【書評】大前研一世界の潮流2022ー2023スペシャル(プレジデント社)

毎年発行される著者の「世界の潮流」シリーズ。

2022年6月発行ですが、ウクライナ情勢についても出版ギリギリまでの情報が詰め込まれていて、一気に読み終えました。我々が「ウクライナ脳(あるいは米欧脳)」でしか物事を見ていないことに気付かされました。

もちろんロシアの侵攻は全く正当化されませんが、そこに至るプロセスにはウクライナ・ゼレンスキー政権の態度も起因していることは理解をしておく必要があるなと。コメディアン出身だった彼が、世論を身につけるために打ち出した方針が、必要以上にロシアを刺激してしまったのかもしれません。

日本でも劇場型リーダーの小泉元首相は未だ人気を誇りますが、「ぶっ壊す」「感動した」以外に何をしたか思い出せません。一方、菅元首相は口下手さで短命に終わりましたが今更ながら評価されていたりと、世論はわかりやすいものになびきがちです。テレビやニュースを裏読みする力を、我々はもっと持たないと行けないですね。

くれぐれも、ロシアがやっていることが絶対許せないですよ。絶対。

後半は、没落国家日本への問題提議が綴られています。大前氏の行政や政府に対しての改善案は昔から一貫していていて、20年前にこの通りにやっておけばよかったのに、と思うアイデアも多いです。氏も過去、都知事選や参議院選に立候補したこともあり、実現したら面白いのにな(都民ではありませんが)と心で応援していましたが、財界出身者にはなかなか票が集まらないんですよね。タレント候補ならおニャン子でも受かってしまうのに・・・。氏も嘆いていますが、教育も変えないとこの国の「まだ大丈夫だ」との勘違いに気づけなくなってしまいますね。

夏休み明け、目を覚ます一冊として文句なしにオススメです。

最近は投資にしても米国集中で、それに対峙する中国あたりしか意識が向かっていませんでしたが、欧州のことも目を向けて行きたいと思います。

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