【書評】USJを劇的に変えたたった1つの考え方〜森岡毅著 社会人・学生みんな読め。特に就活生にオススメ。

角川書店 2016年4月発行

もっと早く読めばよかった。ここ数年で私の中でダントツの1位。

以前にも書評「いちばん苦しかった時の話をしようか」で森岡氏の著書に触れましたが、それ以前に書かれた本書。「ユニバーサルスタジオジャパン(以下USJ)のV字回復」という興味深いテーマに加え、概念の挿絵が圧倒的にわかりやすくて、決して眠くなりません。

学生から社会人まで、何か得られるものがある名著です!

本書をオススメする理由

1.全ての商売に通じるマーティングの学び

2.フレームワーク入門に最適

3.人生とキャリアについて考えるキッカケに

最近、勘頼みの仕事で行き詰まる事が多々あり、フレームワークのリスキリングをしようと思っていた矢先に出会ったのがこの本です。

今さらですが、森岡氏は1973年生まれ、1995年にP&G入社後にマーケティングを実践で学び、USJ2010年入社後は「ハロウィン・ホラーナイト」「ハリーポッターアトラクション」に代表される戦術を次々投入。年間入場者数を入社前の「750万人」から、6年間でほぼ倍の「1,460万人」まで魔法のように押し上げた伝説のマーケターです。

本書のエッセンスをお伝えしたいと思います。

第2章 「日本のほとんどの企業はマーケティングができていない」

日本はマーケティング後進国であることは間違い無いと思います。かつての日本のお家芸であった「技術への傾倒=いいものを作れば売れる」というノスタルジーが未だ残っていることが原因。例えば家電業界。誰が使うのかわからない機能を追加し、型式名を1文字変えて「新製品です!」と発売しても、日本経済が上向きな時代は黙っていても売れました。売れなくなったら「マーケティングに力を入れよう」と名ばかりのマーケティング部門が作られ、広告代理店の食い物にされ、人材も育成されない間に、国境を超える競争時代になり、ますます遅れを取っていくという悪循環。

家電業界に限らず、金融業界、その他業界でも似たようなものだと思いませんか?「いいもの」をどうやって売るかをああでもない、こうでもないと、顧客不在の会議ばかりしている気もします。そんな問題提起に始まり、

第4章「戦略を学ぼう」

改めてなるほどと思ったのが「戦略」についての考え方。

戦略とは

目的を達成するために資源を配分する選択のこと

目的=達成したいこと

資源=ヒト・モノ・カネ・時間・情報・知的財産

*「戦略」>「戦術」(戦略を実行するための具体プラン)

普通の会社であれば、上司から「全部やれ」と次から次からタマが投げられてきますが、資源は限られていますよね。でも言われたタマ全てを100点満点の60点やっても評価されないという矛盾。森岡氏が実践してきたのが、10球のタマがあったら打たないタマを選ぶこと。3球は全力で打ち(うち1球は100点、2球は80点狙い)残る7球は打たない宣言or先延ばし宣言orやったふりで凌ぐ。最も重要な仕事で突出した成果を上げれば、全体の成果も評価もついてくる。わかっちゃいたけど・・・そのとおり!

大局での勝負どころを見極めて「資源を集中させる判断=戦略」が最も大切であり、とかく「戦術」ばかりに囚われがちな意識を整理できました。

第5章「マーケティング・フレームワークを学ぼう」以降は

実質一度破綻したUSJをV字回復させた考え方・手法をわかりやすく解説してくれます。マーケティングはアメリカ発祥の手法で横文字が沢山でてきますが、森岡氏が解説すると本当にわかりやすいんですよ。どの著書もそうなんですが、森岡さんが自分の子供や、学生、新入社員にもわかるように表現されているのがよくわかります。そのあたりも一流のマーケターである所以なのでしょう。

第9章「キャリアをどうやって作るのか」

森岡氏が、なぜこんなにエネルギッシュに活躍されているのか(本著出版後、USJを退職・独立し、丸亀製麺やネスタリゾートの再生などでも大成果を挙げている)そのルーツが語られています。阪神大震災で親しい友人の死を目の当たりにし「一度しかない人生を自分のやりたいことに常にポジティブであろう」と誓ったそうです。

また学校では教えてくれないこと。職業をパチンコ台に例え、台を選んだ時点で出玉(収入の上限)が決まっており、それを理解した上で必ず好きな台(職業)に座るようにというアドバイスもされています。転職を考えている方や就活生に非常にタメなる考え方であり、是非読んでもらいたいです。

いつも通り、この本も図書館で借りて読みましたが、行き詰まった時に何度も読み返すバイブルになると確信。早速購入しました。

一度しかない人生、名著を携えてポジティブに生きましょう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です