世界経済が不透明な中、インフレや株価下落が「FIREブーム」に影を落としています。資産運用と副業で経済的自由を手に入れることが、積極的な意味だけでなく、現実から逃れる方法として支持された側面もあります。
本著の帯にある「目の前の仕事に全力を尽くすことがあなただけの価値に変わる」というフレーズに目を奪われ購入しました。
著者は1987年生まれ。短大を卒業後、ホームセンターに就職。その後リクルートや楽天グループ企業などステップアップを繰り返し、かたや副業で興した企業を上場企業に10億円で売却、という経歴を持つ方です。
多くの転職ノウハウ本とは異なり、単なる成り上がりストーリーではなく、仕事に対する基本的な向き合い方や、自分が社会に提供する価値をどう高めていくかなど、FIREや転職を考えていないビジネスマンにとっても非常にタメになる内容です。
特に営業マンにとっては、数字目標の達成が目的になってしまい、自分が何のために仕事をしているのか見失う場面ってよくあると思います。
1.自分の成長よりも会社の成長を考える
2.数字のためでなく、誰かのために行動する
3.相手の困りごとを解決することが仕事の基本
それぞれ感想を述べます。
1.自分の成長よりも会社の成長を考える
モチベーションは大切、とよく言われることですが、自分のやる気や部下のやる気に振り回されるお客様はたまったものじゃないですよね。自分自身ではなく、目の前の顧客に対して「自分が介在する価値」を高めることが、結果的にモチベーションにつながる。そのとおり。
2.数字のためでなく、誰かのために行動する
著者が社長の人柄やビジョンに惚れて入社した企業が、社長が次第に数字のことしか言わなくなり、社員が離れていった事例が紹介されています。数字を追って達成することが当然ですが、それだけで生きているわけではありません。3にも繋がりますが、困っている顧客や仲間のためにできることを考えることが、仕事や人生も豊かにします。数字が豊かにするのではなく、数字は結果としてついてくるもの。
3.相手の困りごとを解決することが仕事の基本
どんな業種でも、仕事の基本は顧客の「困りごとを解決する」か「新たな価値を提供する」のいずれかだと思います。私がよく行くお客様の打ち合わせブースには「今日はどのような問題解決策を提案してくれますか」「今日はどのような価値のある情報をいただけますか」と書いてあるのを思い出しました。
現在、様々な企業で副業を認める動きが活発化していますが、まずは目の前の仕事に全力を尽くしていることが前提である、という当たり前のことを教えてくれるカンフル剤として、オススメの1冊です。