書評【苦しかったときの話をしようか】ビジネスマンの父が我が子のために書きためた働くことの本質 森岡毅著

かつて窮地にあったUSJ

を革新的なアイデアでV字回復させた伝説の戦略家・マーケターである森岡氏。就職活動を始める我が子に書きためたメッセージをそのまま書籍になった、2019年発売の名著です。

3週間ほど前にYouTubeでおすすめされたインタビュー動画で、兵庫県の破綻したリゾートを「ネスタリゾート神戸」として再生したエピソードを語っている氏に引き込まれ、本著を読みました。

丁度私も子供が今春から社会人となるタイミングで、子を社会に送り出す親の立場としてヒントにしようと読みだしたのですが、私自身へのメッセージとして刺さる部分が多く、備忘録として記します。

私に刺さった森岡氏の言葉

1.会社と結婚するな、職能と結婚せよ!

2.資本主義の本質とは何か?

3.君自身をブランド化する

順番に説明して行きます

1.会社と結婚するな、職能と結婚せよ!

日本のサラリーマン全員90%がハッとするのでは?入りたくて入った会社であればあるほど会社に依存して、会社の顔色ばかり伺いながらいつしか骨抜きになっていき、定年を迎える。あるいは会社から熟年離婚を一方的に伝えられる方が今後は増えるのでしょう。職能(スキル)こそが、相対的に最も維持可能な個人財産であり、スキル獲得を目的に働くことがAIに代替されない財産になる。また会社にとってもかけがえのない人材となる、という考え。仰る通りですね。

2.資本主義の本質とは何か?

それは「人間の欲」。欲をエネルギー源として、人々を競争させることで社会を発展させるのが資本主義で、欠陥はあるが他にいくつもある社会構造よりも人間の本質を相対的に満たしていると述べられています。私も最近、特にスティーブ・ジョブズがiPhoneを発明して以降の爆発的スピードのデジタル化が本当に社会にとっていいのか?と疑問に思うことがあります。が、そこには必然的があって、それがなければ悪い社会構造に導かれていた可能性もあるわけです。ここは数百年後に世界が残っているか、で答えがでるのでしょう。

「資本主義社会=サラリーマンを働かせて資本家が儲ける構造」とも書かれていますが、これも大切な考え方だと思います。単にサラリーマンとして使われるだけでなく、株式投資によって資本家にもなることができたり、いつかは資本家として社会により大きな影響を与えることもできるわけです。そのためには、構造をいつも頭の片隅においておくべきですね。

3.君自身をブランド化する

今属している企業でかけがえのない人材になるにせよ、将来転職や起業を考えるにしても、自分がどのような強みを持っていているのかを整理することは大事ですよね。今さら苦しんで弱みを克服してオールラウンダーを目指すより、強みを伸ばす方が健全。

以下「ブランド・エクイティー・ピラミッド」の考え方が非常にわかりやすかったです。自らが近未来のなりたい自分の姿をデザインすることで、強みをブランド化するとともに、その完成形に近づける羅針盤としていつも携えておく。

30年前就職活動の真っ最中、友人たちと「お前の強みは?」みたいな議論をしたのを思い出しました。

画像出典:森岡毅 著『苦しかったときの話をしようか』(2019年・ダイヤモンド社)

今回は一部の紹介でしたが、森岡氏がP&Gに入社後、日本人初の北米ブランドマネージャーに上り詰めた際のエピソードや、USJを再生したエピソードも非常に興味深いものがあり、森岡氏の別の著書も続けて読みたいと思います。

自分をブランド化して、より良い明日にしましょう!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です