これから新社会人になる方は、数多くある福利厚生制度をまずは理解する必要がありますが、一度に財形や保険や何やら降りかかるため「まずは他の人と同じにしておこう」という判断が多いと思います。
その中の一つに、従業員が自社株を購入保有できる「従業員持株制度」があります。
制度がある企業、ない企業がありますので確認してみて下さい。
制度を導入している企業では従業員加入率が約40%前後とのことですが、改めてメリット・デメリットを私なりに整理してみました。新社会人以外の方でも、もし制度がある会社にお勤めでしたら、検討の参考となれば幸いです。
最近S&P500を対象とした米国投信の定期積立が流行っていますが、国内個別株式の定期積立と考えればこの制度はメリットが大きいと思います。
1.株価に関わらず毎月定額購入
2.会社の成長と運用が連動
3.奨励金の補助
1.株価に関わらず毎月定額購入
一般的な日本株は単元が100株、あるいは1000株単位が多く、銘柄によっては数十万〜数百万円の手持ちがないと投資できませんが、自社の持株制度であれば、単元に関係なく毎月定額での積立が可能です。今流行りの「株式の定額積立」であり、ドルコスト平均法による長期投資に適しています。
一番私がいいと思うのが「給与天引」のため、天引きされる税金や社会保険料の一部と思い込んでしまえば、ほぼ無意識に株式投資に参加できることです。一旦給与として銀行口座に入ってしまうと、知らぬうちに消えてしまいますからね。
2.会社の成長と運用が連動
会社の成長に伴って、株価が上がったり増配することで、運用成績が向上します。究極に言えば、自分が頑張って会社の業績を上げることで、株価を上げることができます。
3.奨励金の補助
これが結構大きいです。一般的には毎月の積立額の5%から10%が会社から補助されます。メチャクチャシンプルに言うと、投資した瞬間に5%〜10%値上がりします。最近楽天証券の投資信託のクレジットカード定期積立のポイント付与が1%から改悪されることが話題になっていますが、そんなの小さな話です。
さらに、安定的に高配当な企業であれば、その配当益も期待できます。ただし配当益は自動的に再投資されますので、持株会加入中は受け取ることはできません(これが逆に福利効果を産み出しますのでメリットとも言えます)。
1.売買のタイムラグ
2.会社と共倒れになるリスク
3.自社株しか買えない
1.売買のタイムラグ
個別株のように、リアルタイムに売買することができません。購入は毎月給料日の天引(ボーナス上乗せ積立も可)に限られ、売却時は一旦持株会からの引き出し・脱退の手続きを踏むため、数日のタイムラグが生じます。
2.会社と共倒れになるリスク
これが一番のデメリットになりえます。入社後、自分の業界や企業がこれから成長を期待できると信じられればよいですが、「この業界大丈夫か?」「この会社、競合他社と比べて弱くない?」という迷いがある企業であると心配ですよね。奨励金や配当金のメリットも、そもそも株価が下がってしまえば吹き飛んでしまいます。ただ、こればっかりは誰にもわからないですけどね。そもそもヤバいと思ってしまう業界や会社なら、転職を考えた方がいいです。
3.自社株しか買えない
当然ですね。会社は安定株主としてのあなたに期待しています。
そんなメリット・デメリットを踏まえて、私はこの制度を10年前から活用しています。現在の運用状況は、きまぐれで手を出した国内個別株に比べたら、全然アリです。自分の勤務先も信じています。
さて、ここからは私が考える従業員持株制度の技です。
1.持株会ネットページのフル活用
2.権利確定月の積立額を減らす
1.持株会ネットページのフル活用
毎月の積立額の変更が簡単にできます。やると決めたなら、余裕を作ってどんどん増額していきましょう。残高の確認が1日遅れでできますので、モチベーションに繋がります。「株価下がって、持株会残高減っているから、私が会社の業歴を何とかするぞ!」みたいな。
2.権利確定月の積立額を減らす
特に高配当の企業であれば、権利確定月(一般的には3月)の2ヶ月前位から株価が上昇し、確定翌月は下がる傾向にあるので、2・3月はネットページを使って積立額を減らして、翌月以降にオンしたら賢いのではないか?
株価は配当以外の要因でも上下するので、絶対ではないですけどね。
ところで、こうやって持株会を活用していると、会社への依存度が高くなるんじゃないかって?
その通りです!バランスが大事です。ポートフォリオを考えて別の業界や競合社の株式を購入したり、世界株式(除く日本)投資するなど、バランスを取っていきましょう。
使える制度は有効活用し、よりよい明日にしましょう!