人事異動の季節です。
50歳を超え会社の中での先が見えてくる中で、自分らしい働き方生き方を考える毎日です。
以前ここで紹介した名著「ブルシットジョブ」では、社会で本当に必要不可欠な、医療・清掃・運送といったいわゆる「ブルーカラー」「ソーシャルワーク」の待遇が低く、相対的に非効率かつ意味のある仕事とは思えない「ホワイトカラー」について疑問を投げかけていました。
ではどうするの?という提案を、日本の少子高齢化環境において具体的に投げかけるのがこの書籍です。
ホワイトカラーの仕事の生産性は世界と比べても低く、改善待ったなしですが、それは他の書に任せ、ソーシャルワークをどうするか、定年後の高齢者の「小さな仕事の積み重ね」で解決しようというのが結論です。
ただし、一定の年金があり老後はプラス月10万円の収入があれば良いという前提条件。①平均的な会社員として厚生年金がもらえる世帯②共働きで年金が夫婦それぞれもらえる世帯となっていて、③国民年金だけのフリーランス・自営業者の方(かつ他に年金・資産の蓄えがない方)は少し違和感がある内容かもしれません。
まず、日本においては今後圧倒的に就労者数が不足している事実。AIに仕事を奪われてしまう、という不安を煽るような報道が多いですが、それは「ホワイトカラー」が担っていた業務であり、「ソーシャルワーク」はAIに置き換えづらく、今後も人手不足が加速していくのです。
例えば介護の仕事。高齢化が加速する中、3K( 汚い・きつい・危険)のイメージが強く、待遇の引き上げがなければますますなり手がいなくなります。あるいは宅配の仕事。ネットショッピングが当たり前となり、1日に何回宅配しなければいけないのでしょう。最近は教師もこれに当たりますね。
そこを①あくせく無理せず②機械化自動化のメリットを享受しながら③周りの人と緩やかにつながることができる業務として再構築するイメージです。
宅配便を例にすると今なら、日中不在覚悟で多くの荷物を配りまくり、再配達で呼び出され、駐車違反にも気を配らなければなりません。これを高齢労働者向けに「地域限定」「時間限定」「補助員限定」などテクノロジーを使いフレキシブルな働き方を提供。なおかつ地域の「見守りサービス」を兼ねて「お元気ですか」と声をかけて回ることが、地域貢献に役立っているとのやりがいにつながります。ヤマト運輸がハローライト電球を使って提供している「クロネコ見守りサービス」をもっとヒューマンにするイメージ。これで1日5時間、週3日、時給1,500円で月10万ほど。どうでしょう?
ホワイトカラーのDXばかりがクローズアップされがちですが、定年人材のDX活用。考えようではもっと大きなイノベーションになるかもしれません。
そんなことを考えさせてくれる本でした。おすすめです。